ELECTRONIC RECORDS
通販の領収書・注文メールの電子保存|電子帳簿保存法
PDF領収書、注文メール、Web上の明細を対象に、専用システムがなくても始められる保存先、ファイル名、事務処理規程の運用を整理します。
制度情報の確認・最終更新: 2026年7月17日
国税庁の「電子帳簿保存法一問一答(電子取引関係・令和8年7月)」まで確認しています。2024年1月からの電子取引データ保存義務は継続中です。2027年1月施行のデジタルシームレス保存は一定のシステム利用に関する追加制度であり、通常の通販PDFや注文メールを保存しなくてよくなる改正ではありません。
通販で保存するデータを先に分ける
判断軸は「最終的に紙へ印刷したか」ではなく、取引情報を最初にデータで受け取ったかです。通販購入では、領収書という名前のファイルだけでなく、日付・金額・相手先などを含む注文メールやWeb明細も対象になります。
| 受け取ったもの | 電子取引データ | 保存方法 |
|---|---|---|
| 注文履歴から取得したPDF領収書・適格請求書 | 該当 | PDFのまま保存。 |
| 日付・金額・取引先などを含む注文確認メール | 該当 | メールそのもの、添付ファイル、または内容を変えないPDF等で保存。 |
| Web画面だけで表示される領収書・明細 | 該当 | サイト上で要件を満たして保存、またはスクリーンショット・PDFで保存。 |
| 商品に同梱された紙の納品書・領収書 | 紙で受領した書類 | 紙で保存。任意にスキャナ保存を選ぶ場合は別要件を確認。 |
保存で満たす2つの要件
電子取引データは、内容が不当に変えられていないことを示す真実性と、必要な時に探して表示・出力できる可視性を確保します。
1. 真実性: 小規模事業でも選べる4つの方法
- タイムスタンプが付されたデータを受け取る
- 受領後、所定の期間内にタイムスタンプを付す
- 訂正・削除履歴が残る、または訂正・削除できないシステムで授受と保存を行う
- 正当な理由のない訂正・削除を防ぐ事務処理規程を定め、運用する
専用システムを導入しない一人・少人数事業では、国税庁の個人事業者用または法人用サンプルを基に事務処理規程を作る方法が現実的です。
メールなどシステム外で受領したデータを、履歴が残るサービスへ後から保存するだけでは、システムによる改ざん防止策に該当しないという国税庁Q&Aがあります。その場合は事務処理規程など別の方法を組み合わせます。
2. 可視性: 画面・書面への出力と検索
原則は、保存データをディスプレイやプリンタで速やかに確認・出力でき、取引年月日その他の日付、取引金額、取引先で検索できる状態です。税務職員からのダウンロードの求めに応じられる場合は、範囲指定や複数項目の組合せ検索が不要になります。
| 全ての検索機能が不要になる条件 | 同時に必要なこと | 残る対応 |
|---|---|---|
| 基準期間の売上高が5,000万円以下 | 税務職員のダウンロードの求めに応じられること。 | データ保存、真実性、画面・書面への出力。 |
| 出力書面を日付・取引先ごとに整理 | 書面を遅滞なく提示・提出でき、電子データのダウンロードにも応じられること。 | 電子データ自体も保存する。 |
5,000万円判定の「売上高」は消費税の課税売上高と同一ではなく、非課税売上を含むなどの違いがあります。基準付近の事業者は国税庁Q&Aまたは税理士へ確認してください。
今日から始める4ステップ
- 1. 保存対象を集めるPDF領収書、取引情報を含むメール、Web明細、返品・キャンセルのデータを注文番号ごとに確認します。
- 2. 保存先を一本化する年・月フォルダまたは証憑サービスへ集約し、保存期間中に画面と書面へ速やかに出力できる状態にします。
- 3. 日付・取引先・金額をそろえるファイル名または索引簿へ3項目を記録し、販売元とモール運営者を区別します。
- 4. 改ざん防止策を決めるタイムスタンプ、授受から保存まで対応するシステム、または事務処理規程のいずれで真実性を確保するか決めます。
保存先の例
経理証憑 / 2026 / 07 / 20260716_楽天_○○ストア_3980.pdf
モール名だけでなく実際の販売元を入れます。保存データが多い場合は、注文番号を加えるか、同じ番号を索引簿へ記録します。
国税庁のファイル名例は「20210131_株式会社霞商店_110000」です。西暦・和暦はどちらでも構いませんが、検索を妨げないよう表記を統一します。
事務処理規程は国税庁の公式ひな形から作る
国税庁は「電子取引データの訂正及び削除の防止に関する事務処理規程」について、法人用と個人事業者用のWord例を公開しています。名称、適用範囲、管理責任、訂正・削除時の手順を自社の実態に合わせ、規程自体もすぐ提示できる場所へ保管します。
通販購入で見落としやすい5点
ECサイト上の保存には条件がある
保存期間中いつでも確認でき、真実性・検索などの要件を満たす場合はサイト上の保存も可能です。閲覧期限前や退店前に取得できる定例日を決めます。
表示のみなら画像・PDFで残す
HTML表示の領収書は、取引情報が読めるスクリーンショットまたはPDFで保存できます。画面の一部だけを切り取り、販売元や金額が欠けないようにします。
メール本文も対象になる
取引情報が本文だけに記載される場合はメールそのものを保存します。単なる配送予定通知など、保存すべき取引情報がないメールとは分けます。
返品・キャンセルも元注文へ戻す
返金明細、キャンセル通知、訂正書類を元の注文番号へ紐づけ、保存データと帳簿の最終金額を合わせます。
販売元、登録番号、適格請求書の確認は初心者向けインボイスガイド、すでに個人アカウントへ混在している購入は過去購入の後始末へ進んでください。
要件どおりに保存できない時の猶予措置
2026年7月17日時点では、要件に従って保存できなかったことについて税務署長が相当の理由があると認め、税務調査等で電子データと、そのデータを出力した書面の両方を提示・提出できる場合、保存時の要件を満たさない状態での保存を認める猶予措置があります。事前申請は不要です。
国税庁Q&Aでは、相当の理由がある事情が継続している間の措置として説明されており、2026年7月17日時点で一律の終了日は示されていません。ただし、対応環境が整っているのに理由なく要件に従わない場合は対象になりません。猶予措置を通常運用の代わりにせず、まずデータ保存から始めます。
購入後の経理・インボイスへつなぐ
よくある質問
PDF領収書を印刷して紙だけ残せばよいですか?
2024年1月1日以後の電子取引データは、原則としてデータそのものを保存します。印刷物を確認用に残すことはできますが、紙だけへ置き換えることはできません。猶予措置を使う場合も電子データ自体の保存が必要です。
売上規模が小さい個人事業主も対象ですか?
電子取引を行う保存義務者は事業規模にかかわらず対象です。ただし、税務職員のダウンロードの求めに応じられ、基準期間の売上高が5,000万円以下なら、全ての検索機能を確保する要件は不要です。データ保存と改ざん防止、画面・書面へ出力できる状態は別に必要です。
Web画面のスクリーンショットでも保存できますか?
国税庁の一問一答は、Web上でHTML表示される領収書をスクリーンショットまたはPDF等に変換して保存する方法を案内しています。日付、金額、取引先などの取引情報を読み取れ、真実性・可視性の要件を満たす状態で保存します。
会計ソフトへPDFを添付すれば改ざん防止要件を満たしますか?
アップロードだけで自動的に満たすとは限りません。訂正・削除履歴が残るシステムを使う方法は、原則としてそのシステム内でデータの授受と保存の両方を行う必要があります。メール等で受け取り、別システムへ保存する場合は、事務処理規程など別の改ざん防止策を確認します。
ECサイトの注文履歴に残っていればダウンロード不要ですか?
保存期間中いつでも領収書等を確認でき、真実性・検索などの要件を満たす一定のECサイトなら、サイト上での保存も認められます。ただし、保持期間の終了や店舗退店で確認できなくなる前にダウンロードが必要です。実務上は購入後の定例日に取得しておく方が確実です。
一次情報で確認する
制度情報の確認日: 2026年7月17日。本記事は通販購入に関する一般的な保存手順であり、保存期間、申告区分、個別データの適法性は税理士または税務署へ確認してください。