先に結論

国税庁は、事業者が備品などの購入にポイントを使う場合の経理処理として、ポイント利用後の金額を経費にする値引処理と、利用前の総額を経費にしてポイント分を雑収入にする両建処理を示しています。どちらかを機械的に選ぶ前に、ポイントの取得経路とレシート表示を確認し、同じ条件の取引では決めた方針を継続します。

楽天ポイント・PayPayで経費を払った時の仕訳を先に確認

取引帳簿の考え方保存するもの
一部をポイントで支払う値引処理なら実支払額を経費にし、両建処理なら利用前総額とポイント分の収入を分けます。注文総額、ポイント利用額、実支払額が分かる領収書・注文履歴。
全額をポイントで支払う実支払0円でも、値引処理と両建処理で帳簿への残し方が変わります。発行された領収書・請求書、注文履歴、ポイント利用明細。
私用ポイントを事業で使う取得経路によって判断が変わるため、付与元と利用額を分けて税理士・税務署へ確認します。付与元、取得理由、利用日、事業・私用の区分。

方法は2つ。先にポイントの出所を確認する

同じ「1ポイント」でも、通常購入に応じて販売企業から付いたものと、共通ポイント運営企業やキャンペーンから付いたものでは所得税の整理が同じとは限りません。まず取得経路を次の3つに分けます。

ポイントの例国税庁の一般的な整理実務で残す情報
通常購入で同じ企業から付与購入額に応じて同じ企業から付くポイントは、通常の商取引の値引きと同様に扱う案内があります。付与元、対象購入、利用日、利用額。
共通ポイント制度運営企業から付与されたポイントは、使用目的に応じて一時所得や事業所得などの収入に含める場合があります。付与元、取得理由、事業・私用の別、利用先。
抽選・キャンペーン通常の値引きとは異なり、使用時の所得区分を確認します。キャンペーン名、獲得日、利用日、利用額。
以下の仕訳は、国税庁が示す「事業者が備品等を購入する際にポイントを使用した場合」の一般例です。共通・キャンペーンポイント、役務の対価として得たポイント、事業取引で大量に発生するポイントは、所得区分を別に確認してください。

考え方1: 値引処理

10,000円の消耗品に1,000ポイントを使い、残り9,000円を事業用カードで支払った例です。ポイント利用後の実支払額を経費にします。

借方金額貸方金額
消耗品費9,000円未払金(カード)9,000円

入力は簡潔ですが、注文画面の総額と帳簿の金額が一致しません。摘要へ「注文総額10,000円・1,000pt利用」と残し、注文履歴と領収書を同じ取引へ紐づけます。

考え方2: 両建処理

商品総額を経費にし、ポイント利用額を雑収入として分ける国税庁の処理例です。

借方金額貸方金額
消耗品費10,000円未払金(カード)9,000円
雑収入1,000円

注文総額を帳簿へ残せますが、雑収入の内訳管理が増えます。値引処理と両建処理のどちらが個人・法人に一律で向くとは決めず、ポイントの性質、取引数、消費税の課税方式、既存の記帳方針で確認します。

どちらを選ぶかを4項目で決める

確認項目値引処理両建処理
入力の手間実支払額だけを経費にするため少ない。経費と雑収入を分ける。
注文総額との照合摘要やポイント明細が必要。購入総額が帳簿に残る。
全額ポイント利用経費額が0円になる一般例。総額と同額の雑収入を記録する一般例。
消費税処理名だけで決めず、レシートの「ポイント値引」か「ポイント支払」かを確認する。

採用方針を変える必要が出た時は、年度途中で自己判断せず、変更理由と適用開始日を会計担当や税理士へ確認して残します。

全額ポイント払いは「実支払0円」と「書類」を分けて考える

全額をポイントで充当しても、領収書が必ず0円になる、または発行されないとは限りません。例えば楽天市場は、対象の決済手段を選んだ注文なら、全額ポイント払いでもインボイス制度対応の領収書または請求書を発行すると案内しています。

値引処理の一般例

10,000円の商品を全額ポイントで値引処理するなら、経費額は0円になります。購入の事実が帳簿に出ないため、注文履歴とポイント利用明細は保存します。

両建処理の一般例

消耗品費10,000円と雑収入10,000円を記録します。貸借は相殺されますが、購入総額とポイント利用の履歴が残ります。

全額ポイント利用時の書類表示はサービス、販売元、決済手段で変わります。「0円領収書」と決めつけず、実際に発行された領収書・請求書、注文総額、ポイント利用額を一緒に保存してください。

私用で貯めたポイントを事業購入に使った時

個人アカウントでは、私用購入、事業購入、共通ポイント、キャンペーンポイントが混ざりやすくなります。まずポイントの付与元と取得理由を可能な範囲で分け、注文総額、利用額、実支払額を記録します。私用由来ポイントを事業へ充当した場合の具体的な所得区分・仕訳は、金額と取得経路を示して税理士または税務署へ確認してください。

すでに個人アカウントで買っている場合の後始末を見る

インボイスと消費税はレシート表示で確認する

国税庁は、ポイント使用が商品本体価額の値引きならポイント控除後の金額、支払うべき価額の値引きなら商品対価の全額を、消費税の課税仕入れに係る支払対価の額とする考え方を示しています。購入者はレシート・適格請求書の表記から判断して差し支えないとされています。

ポイント値引

商品対価そのものが減額され、税率別金額も値引後で表示されているか確認します。

ポイント支払

商品対価の総額が表示され、ポイントが支払手段として別記されているか確認します。

一般課税で仕入税額控除を行う場合は、区分経理と適格請求書等の保存が必要です。書類の見方は初心者向けインボイスガイドで確認してください。

毎回迷わない4ステップ

  1. 1. ポイントの取得経路を分ける通常購入で同じ企業から付いたポイントか、共通ポイント、抽選・キャンペーン由来かを確認します。
  2. 2. 注文総額とレシート表示を保存する注文総額、ポイント利用額、実支払額と、ポイント値引・ポイント支払の表示を同じ取引へ紐づけます。
  3. 3. 経理方針を決める値引処理または両建処理のどちらを使うか、消費税の課税方式も含めて会計担当や税理士へ確認します。
  4. 4. 月次でポイント利用だけ確認する通常取引を全件見直さず、全額利用、共通・キャンペーンポイント、返品のある注文を例外として確認します。

台帳に残す: 注文総額 / ポイント利用額 / 実支払額 / レシート表示

さらに付与元、取得理由、返品時のポイント返還を注文番号へ紐づけると、例外取引だけを月末に確認できます。

関連する経理・保存ガイド

よくある質問

ポイントで買ったものは経費にできませんか?

ポイントを使ったことだけで、事業上必要な購入が直ちに経費から外れるわけではありません。国税庁は事業者の備品購入について、ポイント使用後の額を経費にする値引処理と、使用前の総額を経費、ポイント分を雑収入にする両建処理を示しています。取引内容と採用方針に応じて処理します。

貯まったポイント自体に税金はかかりますか?

購入額に応じて同じ企業から付与される通常ポイントは、一般に通常の値引きと同様に扱う案内があります。一方、抽選・キャンペーンや共通ポイント制度の運営企業から付与されたポイントは、使用目的に応じて一時所得や事業所得などの収入に含める場合があります。取得経路を分けて確認してください。

期間限定ポイントが失効したら仕訳が必要ですか?

この記事のようにポイントを使用した時に処理する運用では、未使用のまま失効した通常ポイントについて、購入仕訳を起こす場面は通常ありません。ただし、役務の対価や事業取引に付随して取得したポイントなどは扱いが異なり得るため、金額が大きい場合は確認してください。

全額ポイント払いでは領収書が発行されませんか?

サービスと支払方法によって異なるため、一律にはいえません。楽天市場は、対象の決済手段が選択されていれば、全額ポイント払いでもインボイス制度対応の領収書または請求書を発行すると案内しています。注文履歴で実際に取得できる書類と表示額を確認してください。

一次情報で確認する

制度・サービス情報の確認日: 2026年7月17日。本記事は一般的な処理例であり、ポイントの取得経路、事業形態、消費税の課税方式により判断が変わります。

この記事を書いた人: イノベーションエッジ

大手企業で購買・調達に関わる管理職として勤務しながら、個人事業主として複数のWebメディアを運営。消耗品の仕入れ・経費処理・インボイス対応を、当事者として確認日付きで整理しています。

個別の税務判断は税理士・税務署にご確認ください。